便利な葬儀 東京の登場です

この交渉過程で、現在の成功につながる要因をあえて拾い出すとすれば、経営や消費社会の曲がり角を同業他社よりは早く感じとることができた、当時のイトーヨーカ堂首脳陣の「謙虚な経営センス」、そして、新規事業を検討するに当たって、Sらが見せた「既成概念に囚われない好奇心の強さ」、さらに、その選択にイトーヨーカ堂の経営リスクをかけて、懐疑心を持ちながらも結局は新しいチャレンジにかけることにしたIらの「決断力」ということになろう。 もちろん、当事者の好奇心の強さと経営陣の決断力だけで、日本発のコンビニエンスストア・チェーンという貴重なシーズ(種子)がすくすくと育ったわけではない。
「生みの苦しみ」のなかから、SE・ジャパンという「超・健康優良児」を育てるには、それまでのスーパー経営についての既成概念とは異なる独特の経営理念が必要だった。 それは、SEの経営戦術的な特徴といえる、コンピューター技術に支えられたPOS(販売時点情報管理)システム利用による徹底した集中商品管理方式であった。
米サウスランド社のコンビニエンスストア・チェーンであるSEのシステムを、イトーヨーカ堂の子会社「ヨークセブン」(のちにSE・ジャパンと改称)がフランチャイズ・システムとして日本で展開する提携契約が調印された。 Sらの粘り強い交渉とイトーヨーカ堂首脳陣の決断で、日本に初めて本格的なコンビニエンスストア・チェーンが展開されることになったのである。
いわば、成功の玉手箱がイトーヨーカ堂の手に入ったといえよう。 しかし、米国でトップのコンビニエンス・チェーンと契約を結び、その運営方式をそっくり導入することと、そのチェーンが日本で大成功することとは決してイコールの関係ではない。
いくら日本側の企業が一流企業でも、こうした商談では、思ったように業績が伸びなかったり、失敗して撤退するケースがよくある。 具体名をあげるのはここでは避けるが、多くはブランドもの販売や外食産業、百貨店などで、そうしたケースをいくつかご存じだろう。
ところが、SE・ジャパンはその後、独特の流通手法を打ち出し、都市部を中心に、価格の安さよりも時間コンビニエンスが重視される商品に的を絞った経営戦略で消費者の支持を集め、急成長を果たすことになる。 それは典型的なサクセス・ストーリーとして、流通業界でいまでは知らぬもののないほどの伸び方だった。
なにしろ、いまでは全国で6400店余、チェーン店売上高約1兆5000億円を誇る日本一のコンビニチェーンだ。

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