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ボールソン米財務長官は下院歳入委員会で「米経済はトレンドを上回る水準から3%程度の持続的成長に移行しつつあるようだ」と述べ、ブッシュ大統領が2008会計年度予算教書で、2兆9000億ドルの歳出を示したことについて、税収の伸びと強い財政状態を反映しているとの見方を示しました。
アメリカ経済について、最近「ゴルディロックス「経済」という言葉がよく使われています。
インフレも景気後退の懸念もない、適度な経済成長の持続が期待されるという状況を指す言葉です。
かつて、クラッシュをともなわない景気の沈静化のことが、宇宙船の軟着陸になぞらえて、ソフトランディングと呼ばれました。
そのソフトランディング以上に経済運営が絶妙で、順調な様子がこの言葉には含まれているようです。
新興国の外貨準備が急ピッチで積みあがったのは、国際不均衡が拡大したからです。
アメリカが、巨額の貿易赤字を垂れ流す一方で、新興国の黒字が拡大し、その黒字を原因とする自国通貨圧力を抑えるために自国通貨を売り、ドル買い介入を実施したことによって、外貨準備が急ピッチで積み上がったのです。
1980年代は、アメリカが債務者で日本が債権者というシンプルな関係でしたが、現在は、日本以外に中国をはじめとするアジア諸国、OPEC(石油輸出国機構)、ロシアと、債務者アメリカに対する債権者は複数国になっているのです。
アジア諸国では、余剰資金を投じる債券市場が存在しなかったために、外貨準備高のドル比率は低下したものの、依然として6割を維持しています。
世界の新興国は、全般的に所得水準が上がり、生産コストが上昇し、インフレの芽が出はじめています。
1980年代は、債権債務残高を縮小して国際均衡を図りましたが、現在は債権債務を双方で膨らませながら、相互に依存して国際経済が動くシステムになっています。
本質的には脆弱ですが、これまでは持ちこたえることができています。
しかし、今後は金利面からも量的な面からも制約を受けることになるでしょう。
現在、ECB(欧州中央銀行)は、インフレを抑えるために金利を上げる方向に動いています。
そういう状況の中で、円という金利の低い通貨を積極的に外貨準備の中に維持することは考えにくいのではないでしょうか。
輸出主導型の日本にとっては、むしろ円安傾向は好都合なはずです。
今後の展開によっては各国の対応が変わってくるかもしれません。
欧米の株価が2007年2月初旬に年初の水準よりも17%近く上昇するなかで、日本の株式市場はパフォーマンスの悪さが明白になっています。
世界が日本経済の先行きに不安感を抱いているからであり、今後大きな経済成長が期待できないということです。
景気拡大によるインフレ期待ではなく、新興国の成長による原油高を背景にしたインフレ期待では、今後原油価格の下落も考えられることから、インフレ期待は考えにくいのかもしれません。
日本では、物価の安定的な上昇が見えないかぎり、金融政策の正常化はゆっくり昨年末以来、日本の金融当局者も、ユーロ円が高すぎると牽制の発言を繰り返しています。
これもどの程度本気なのか全くはっきりしません。
円安は本来インフレをもたらしますが、現在の日本の状況はインフレになかなかつながらないのが実情です。
2007年は、年前半円安ドル高進行が考えられますが、ドル高是正に動いた場合、米国の経常赤字が史上最高を記録しているなか、ドルはかなりの下落を見せるかもしれません。
アメリカ経済は巡航速度に戻るだけであり、落ち込むと民主党がドル安を求める可能性もあります。
年初の円安傾向が行き過ぎれば限度があることになるでしょう。
日本では、ナショナル・アイデンティティの復活という評価の安倍晋三内閣が誕生しました。
安倍政権の経済政策は組閣次第ともいわれました。
日本が円高との悪戦苦闘を繰り返した中曽根政権から宮沢政権までの期間、宮沢喜一氏の円高との闘いを阻んだのは竹下派(11旧田中派)でした。
党内におけるあまりにも強い竹下派の力が、首相になった宮沢氏をも拘束し、円高に歯止めがかかりナショナリズムを前面に押し出したトラディショナルな運営では、成長を見出すことは難しいといわざるをえません。
憲法改正も悪くはないのかもしれませんが、財政収支、経常収支改善よりもそちらに力を注いだならば、2007年の参院選で大敗することになるでしょう。
閣内に竹下派を抱え込んだ安倍政権は、かつての宮沢政権と同じように、どうしても政権基盤が脆弱となります。
閣僚のスキャンダルが噴出するのは、1つには政権基盤が脆弱だからであり、田中角栄以来の「ばらまき行政」傾向は、財政赤字の増加に直結します。
日本の現在の財政赤字は、巨額の利払い発生のため健全財政には戻れない地点Tポイント・オブ・ノーリターン)にまで踏み出してしまっているとの指摘もあり、ことの重大さは中曽根政権、宮沢政権当時の比ではありません。
アメリカは、クリントン政権下で歳出を抑制し、長期金利を低下させ、景気拡大をもたらして税収を増やしました。
その後、ブッシュ政権になると、2度の減税を日本の財政赤字(地方を含む長期債務残高)は、1100兆円にまで膨らんでいます。
財政収支、経常収支を改善し、歳出カットを極限まで進めて国民の理解を得て消費税の増税を乗り切り、少子化による労働力不足、マーケットの縮小、成長性に対する不安などを一掃する経済シナリオを、すぐさま実施しなければ、市場による必然的な円の切り下げに見舞われる可能性が高いというのが、2007年2月のあるがままの政権の姿です。
安倍自民党が参院選で大敗をし、政権交代により、なおも財政構造改革が遅れることになれば、財政赤字の途方もない拡大は避けられず、その過程で取り返しのつかない事態になる危険性もあります。
日本は貿易収支の黒字が確実に減ってきています。
輸入の伸びが著しく、原油の高騰が響いているせいなのは事実ですが、海外からの製品輸入が目立つようになりました。
国内で同じ物を作っている企業はコスト面で対抗できなくなってきており、この傾向が今後もさらに続くと輸入がざらに増え、黒字の減少が続き、いずれ赤字に転落することになるでしょう。
所得収支が拡大しており、貿易収支の黒字を上回るようにもなってきています。
全体としての経常収支は、当面黒字を続けるのでしょうが、もしも赤字傾向が顕著になっても、対外資産の切り売りで対抗できるために、国内の産業が衰退していくことにしばらくは目が向かないかもしれません。
ながら、一度衰えると復活するのは難しいのは明らかです。
たとえば、ソニー、松下に見られるリコールの問題は、日本の製造業におけるモラルの低下、競争力の低下につながることは避けられないでしょう。
トヨタもリコールが増えているといわれています。
日本の輸出の減少にはとくに注意が必要です。
輸出減少は、将来の成長性の鈍化とともに円安要因になります。
2006年度上期の貿易黒字額は、前年同月比2.5%減で、3兆9044億円でした。
9月の貿易黒字額は、前年同月比6.9%増で1兆140億円。
季節調整後貿易黒字額は、前月比36.5%減で4199億円でした。
輸出は、1.2%減。
輸入は2.9%増です。
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